Sunday, 6 November 2022

Verse Recalled 10. Pond LI Hang

 


 拾遺詩篇

 

里行

 

LI Hang

 

 

その夜は遅くまで

暗い明かりの下で話し続けた

過ぎて来た高原を 長く続く山すそを

越えて来た山々を あの奇跡のようなひとつの池を

 

明日になれば下山し また日常がはじまる 追憶は

都市の微塵の中に消え行くだろう

それでもなお
  一条の

消え得ぬものが

見果てぬ先を

彩っていた 

 

今年

もはや一世代を超えたのちに ふたたび

その蒼い池をめざそうと その宿の

かつてはなかった売店に立ち止まると

窓辺に

はなやかに 山の
 つかの間の 
夏花が
 広がっていた

 

愛する人よ 
 時は

時は今となって現われ

対となって現われ

おまえへのことばを

ただそれだけを

ただそれだけを受けるために

ひたすらに

ひたすらに待っていたのか


 

 

Tokyo September 1, 2000
    Tokyo November 6, 2022
 Revised

  Sekinan Research Field of Language

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